熊野町の筆づくりの歴史は150年以上に遡ります。熊野の人々は、その昔、農業で主にくらしを立てていました。
しかし、当時農地の少なかった熊野では農業だけでは生活を支えきれず、農民たちの多くが農閑期には出稼ぎに出ていました。
行く先は主に紀州(今の和歌山県)熊野地方や大和(奈良県)吉野地方でした。
出稼ぎを終えると、ならへ立ち寄り、そこで生産される筆や墨を仕入れては、行商をしながら熊野へ戻るようになりました。
この行商がきっかけとなり、熊野と筆の結びつきが生まれました。
現在では、熊野筆はわが国の生産額の80%を占めるほどになっています。そして熊野化粧筆は、2011年女子サッカーの日本代表「なでしこジャパン」が国民栄誉賞を受賞した際、
記念品として贈られたことにより脚光を浴びています。
筆の里工房(左)と熊野郷土館(右)